合意分割の仕組みをわかりやすく解説
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初めまして、行政書士の辻 雅清と申します。
2010年に開業以来、下記業務について力を入れております。
・離婚協議書作成(全国対応)
・離婚公正証書の代理作成(全国対応)
離婚時の年金分割の申請は馴染みがなく難しい言葉が多いため、よくわからない。という壁にぶつかる方が非常に多いです。
特に合意分割は年金分割の手続きの中でも1番わかりにくい制度です。
ここでは合意分割の仕組みについて具体例を使いながらわかりやすく解説します。
なお、年金分割の相場や手続きなどの詳細は以下のページをご覧下さい。
わかりやすい離婚時の年金分割の情報通知書や相場‐手続きを解説
【目次】
○ 何を確認することから始めたらいい?
○ 合意分割に該当する主な夫婦とは?
○ 山田夫妻の離婚までの経緯(具体例)
○ 婚姻中に会社員から専業主婦になった場合は?
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?
何を確認することから始めたらいい?
年金分割では婚姻中の職業に応じて3つの申請パターンに分類されます。
先ずは自分たちがどの申請パターンに該当するのか。という確認から始めて下さい。
〈3つの申請パターンとは?〉
① 合意分割の申請者に該当
② 3号分割の申請者に該当
③ 合意分割と3号分割両方の申請者に該当
この申請パターンを間違えた場合、離婚後、年金事務所で手続きをする際に問題が起きるのでご注意下さい。
合意分割の詳細は次のトピックでお伝えしますが、ここでは合意分割と3号分割という言葉だけでも覚えておいて下さい。
合意分割に該当する主な夫婦とは?
① 夫は会社員で妻も会社員
② 夫は会社員で妻は扶養外の仕事
③ 平成20年4月以前に婚姻した夫婦
扶養外の仕事とは契約社員、パートなどを指します。
年金分割の申請パターンは婚姻中の職業(働き方)に応じて決まります。
主に①~③に該当する方は離婚時の年金分割では合意分割の申請者に該当します。
当事務所では①と②に該当しているご依頼者様が多いです。
なお、平成20年4月以降に婚姻したご夫婦で婚姻中の職業が扶養内の仕事、専業主婦(主夫)の場合、3号分割の申請者に該当します。
ここまでをまとめると婚姻中の勤務先の給料からご夫婦双方が厚生年金保険料を天引きされている場合、合意分割に該当します。
山田夫妻の離婚までの経緯(具体例)
① 婚姻(平成10年4月1日)
② 婚姻中は夫妻共に会社員
③ 離婚(令和7年3月20日)
先ず山田夫妻は共働き(共に厚生年金を納付)なので合意分割の申請者に該当します。
次に婚姻中の納付記録などを把握するために、
年金事務所にて年金分割の情報通知書という書類を請求する必要があります。
〈情報通知書の何を確認する?〉
・第一号改定者の氏名を確認する
・第二号改定者の氏名を確認する
・按分割合の範囲を確認する
情報通知書には第一号改定者、第二号改定者という項目があり、
仮に第一号に夫の氏名、第二号に妻の氏名が記載されていると夫から妻への分割となります。
年金分割では夫から妻への分割。という一方通行ではなく、
婚姻中の収入によっては妻から夫への分割。という可能性もあります。
つまり年金分割は婚姻中に厚生年金を多く納付した側が譲る制度となります。
なお、どちらが分割する側になるかハッキリわかる場合は、
情報通知書を請求しても、請求しなくてもどちらでも構わないです。
例)夫と妻の年収差が500万円以上あり、夫が分割する側と簡単にわかる。
そして合意分割では夫婦間で按分割合の協議が必要です。
情報通知書に記載されている按分割合の範囲内(○%~50%以内)で合意して下さい。
なお、按分割合の最大値は50%(折半)と決まっていますが、最小値は各ご夫婦ごとに異なります。
最後に合意分割の申請は離婚成立後に行います。
離婚届提出後、2年以内に元夫婦が揃って年金事務所に出向いて申請をすれば終了となります。
ちなみに元夫婦が揃って年金事務所に出向くのが難しい場合は、
公証役場にて年金分割の合意書という書類を作成すれば、離婚後1人で申請ができます。
詳細は離婚公正証書に年金分割を書く‐年金分割合意書の費用も解説をご覧下さい。
婚姻中に会社員から専業主婦になった場合は?
婚姻中に勤務先を退職して専業主婦や扶養内の仕事になった。という方も多くいらっしゃいます。
仮に妻が平成20年4月以降に専業主婦になった期間があれば、
専業主婦の期間については3号分割の申請者に該当することになります。
注)扶養内の仕事になった場合も専業主婦と同じ扱いになります。
仮に妻が離婚する前の10年間が専業主婦だった場合、
婚姻から共働きの期間は合意分割、専業主婦の期間は3号分割という合意分割と3号分割両方の申請者に該当します。
この両方の申請者に該当するケースも多いので合意分割はわかりにくい。と感じる方が多いです。
最後に合意分割の制度はわかりにくいです。
HP(文字)で調べずに、直接、専門家に電話相談をした方がわかりやすく早く理解できます。
【参考情報】
・離婚Q&A(年金分割編の基本編)‐年金分割の6つの疑問に回答
・年金分割の仕組みをわかりやすく解説‐年金分割の基本編
・年金分割の申請ができる職業とは‐自営業、会社員、公務員?
・3号分割の基礎知識
・離婚公正証書に年金分割を書く‐年金分割合意書の費用も解説
離婚チェックシートの回答から始めませんか?
何度も内容のアップデートを繰返しています。
つまり開業以来の経験を多数反映したものとなっています。
開業した頃、離婚協議書などの作成相談を受けた際、
以下のような悩みを持つ方が多く良案はないか?と考えていました。
・何から始めたらいいかわからない。
・書き漏れがないように効率良く進めたい。
・しっかりした離婚協議書や離婚公正証書を作りたい。
そして自分の考えを整理できる○×形式のチェックシートがあれば、
効率良く進められるし、こういった悩みを解決できるのではと考えました。
こういった経緯があり離婚チェックシートを作りました。
離婚チェックシートとは?
1.計13ページ63項目を掲載
2.離婚協議書などに決めることを掲載
3.自分で財産分与などの情報を集めなくていい
離婚協議書や離婚公正証書作成のご依頼を頂いた場合、
離婚チェックシートの送付と内容説明(90分)から始めます。
養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割などを掲載しています。
20代~40代のご依頼者様が多いので養育費と面会交流の情報が多いです。
なお、3年位前からは世代を問わずご依頼を頂いております。
世代に応じてテーマになる離婚条件(退職金など)は異なりますが全て対応できます。
具体的には以下のような形で掲載しています。
・養育費の終期はいつまでにしますか?(選択肢は4つ)
・動産の分配はどう記載しますか?(選択肢は3つ)
このように自分の考えを整理しやすいように掲載しているので、
自分で離婚条件の情報を集める必要はなく効率良く離婚の協議を進めれます。
注1)離婚チェックシートのみの販売はしておりません。
注2)弁護士法の規定により相手方との交渉はお引受できません。
離婚チェックシートに回答後、じっくりと打合せを行い、
ご夫婦の意向に沿った質量共に充実した離婚協議書などを作成します。
詳細は離婚チェックシートとはをご覧下さい。
【年金分割 2025/04/14】