離婚慰謝料の書き方(分割払い)をわかりやすく解説

著者は慰謝料の問題に強い行政書士の辻雅清

公開

初めまして、行政書士の辻 雅清と申します。

2010年に開業以来、下記業務について力を入れております。

・離婚協議書作成(全国対応)
・離婚公正証書の代理作成(全国対応)

離婚慰謝料の支払を分割払いで合意したけど、
離婚公正証書などの書き方がわからない。という疑問を持つ方がいます。

このページでは慰謝料の分割払いの書き方の悩みを解決するため、
離婚協議書や離婚公正証書に残す場合の書き方(ひな形)をお伝えします。

【目次】

○ 離婚慰謝料の分割払いの書き方(ひな形)
○ 不倫慰謝料の分割払いの書き方(ひな形)
○ 支払者の経済状況を考慮して条件を決めることが大事
○ 分割払いの場合は期限の利益の喪失事項も書く
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?

離婚慰謝料の分割払いの書き方(ひな形)

甲は乙に対し、慰謝料として金80万円を支払う義務があることを認め、令和6年7月から令和7年2月まで計8回に分割して金10万円を毎月末日までに乙名義の口座に振込み送金して支払う。振込み手数料は甲の負担とする。

離婚慰謝料分割払い書き方のポイントは以下の5点です。

① 支払総額を具体的に書く(80万円)
② 支払始期と支払終期を具体的に書く(令和6年7月~令和7年2月)
③ 支払回数を具体的に書く(8回)
④ 毎月の支払額を具体的に書く(10万円)
⑤ 毎月の支払日を具体的に書く(末日)

この5つのポイントは夫婦間の協議で決めることになります。
今回は80万円としましたが100万円、200万円、それ以上で合意するご夫婦もいます。

離婚慰謝料の支払を分割払いで合意した場合、
本当に終期まで払ってくれるのか?という不安を覚える方が多いです。

この不安を解消するために離婚協議書や離婚公正証書を作成する方が多いです。

特に離婚公正証書には強制執行という強い効力があります。
このことからどちらを作るか悩んでいる場合は離婚公正証書の作成をお勧めします。
強制執行とは慰謝料の未払い時に支払者の財産などを差押えできる力です。

なお、離婚公正証書を作成する場合の公証役場手数料は、
慰謝料の支払総額が80万円だと5,000円と決まっています。
注)公証役場手数料は合意した金額に応じて変動します。

不倫慰謝料の分割払いの書き方(ひな形)

甲は乙に対し、甲の不貞行為により乙が受けた精神的苦痛に対する慰謝料として金100万円を支払う義務があることを認め、令和7年1月から令和8年8月まで計20回に分割して金5万円を毎月25日までに乙名義の口座に振込み送金して支払う。振込み手数料は甲の負担とする。

書き方のポイントは離婚慰謝料でお伝えしたものと同じです。

ただ唯一異なるのが慰謝料の発生原因を具体的に記載することです。
ここでは「甲の不貞行為により・・・」となぜ慰謝料を払うのかという理由を書いています。

支払者の経済状況を考慮して条件を決めることが大事

離婚原因(配偶者の不倫など)によっては感情的になりやすく、
支払者の経済状況(収入と支出)を無視した条件で合意することがあります。

支払条件が厳しい場合、離婚後に支払者の心が折れたり、
最悪のケースでは自暴自棄になるので冷静になって結論を出すことが大事です。
例)もう限界。強制執行でも何でも好きにしてくれて構わない。と開き直る。

冷静な協議ができない場合は第三者を交えることをお勧めします。
第三者とは代理交渉ができる弁護士さんや身近な親族(両親や兄弟)を言います。

なお、親族に協力を求める場合は親族は夫婦間協議に参加せず見届けるというスタンスでいることが大事です。

仮に親族が夫婦間協議に参加すると、
話し合いがより難航する可能性があるのでご注意下さい。
例)離婚後の生活が厳しくなるから慰謝料を下げてと母親が主張する。

分割払いの場合は期限の利益の喪失事項も書く

慰謝料の支払方法が分割払いとなった場合、
上記書き方に加えて期限の利益の喪失事項という条件も書いて下さい。

期限の利益の喪失事項とは、離婚後、支払者に○○が起きた場合は残額を一括で支払う。という条件です。

期限の利益の喪失事項は難しくてわかりにくい条件なので専門家への相談をお勧めします。

【参考情報】
離婚協議書・公正証書のサンプルと書き方‐具体的な文例やひな形を掲載
ゼロから始める離婚公正証書の作り方‐全国対応
不倫・浮気を原因とする離婚の慰謝料請求‐相場や請求できる条件
離婚慰謝料の一括払いの書き方‐公正証書作成に役立つひな形
離婚慰謝料の書き方(併用払い編)

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離婚チェックシートの回答から始めませんか?

何度も内容のアップデートを繰返しています。
つまり開業以来の経験を多数反映したものとなっています。

離婚チェックシートを使って離婚協議書や公正証書を作成します

開業した頃、離婚協議書などの作成相談を受けた際、
以下のような悩みを持つ方が多く良案はないか?と考えていました。

・何から始めたらいいかわからない。
・書き漏れがないように効率良く進めたい。
・しっかりした離婚協議書や離婚公正証書を作りたい。

そして自分の考えを整理できる○×形式のチェックシートがあれば、
効率良く進められるし、こういった悩みを解決できるのではと考えました。

こういった経緯があり離婚チェックシートを作りました。

離婚チェックシートとは?

1.計13ページ63項目を掲載
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離婚協議書や離婚公正証書作成のご依頼を頂いた場合、
離婚チェックシートの送付と内容説明(90分)から始めます。

養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割などを掲載しています。
20代~40代のご依頼者様が多いので養育費と面会交流の情報が多いです。

なお、3年位前からは世代を問わずご依頼を頂いております。
世代に応じてテーマになる離婚条件(退職金など)は異なりますが全て対応できます。

具体的には以下のような形で掲載しています。

・慰謝料の支払方法はどうしますか?(選択肢は3つ)
・養育費はいつまで払いますか?(選択肢は5つ)

このように自分の考えを整理しやすいように掲載しているので、
自分で慰謝料の情報を集める必要はなく効率良く離婚の協議を進めれます。
注1)離婚チェックシートのみの販売はしておりません。
注2)弁護士法の規定により相手方との交渉はお引受できません。

離婚チェックシートに回答後、じっくりと打合せを行い、
ご夫婦の意向に沿った質量共に充実した離婚協議書などを作成します。

詳細は離婚チェックシートとはをご覧下さい。

【慰謝料の書き方 2024/06/12】