離婚慰謝料の書き方(併用払い)をわかりやすく解説
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初めまして、行政書士の辻 雅清と申します。
2010年に開業以来、下記業務について力を入れております。
・離婚協議書作成(全国対応)
・離婚公正証書の代理作成(全国対応)
離婚慰謝料の支払を前払金と分割払いの併用払いで合意したけど、
離婚公正証書などの書き方がわからない。という疑問を持つ方がいます。
このページでは慰謝料の併用払いの書き方の悩みを解決するため、
離婚協議書や離婚公正証書に残す場合の書き方(ひな形)をお伝えします。
【目次】
○ 離婚慰謝料の併用払いの書き方(ひな形)
○ 前払金を具体的に書く必要はある?
○ 分割払いの場合は期限の利益の喪失事項も書く
○ 離婚慰謝料の理想的な支払方法とは?
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?
このページは離婚慰謝料の合意を書面に残す書き方に特化した内容なので、
夫婦間の離婚慰謝料の相場や請求できる条件などについては掲載していません。
離婚慰謝料の相場などについて詳しく知りたいという方は、
不倫・浮気を原因とする離婚の慰謝料請求‐相場や請求できる条件をご覧下さい。
離婚慰謝料の併用払いの書き方(ひな形)
甲は乙に対し、慰謝料として金150万円を支払う義務があることを認め、金150万円の内金60万円については、令和7年4月1日に支払い、残り金90万円については、令和7年5月から令和8年1月まで計9回に分割して金10万円を毎月10日までに乙名義の口座に振込み送金して支払う。振込み手数料は甲の負担とする。
離婚慰謝料の併用払いの書き方のポイントは以下の6点です。
〈離婚慰謝料の併用払いの書き方のポイント〉
① 前払金を証拠として具体的に書く(令和7年4月1日に60万円)
② 支払総額を具体的に書く(150万円)
③ 支払始期と支払終期を具体的に書く(令和7年5月~令和8年1月)
④ 支払回数を具体的に書く(9回)
⑤ 毎月の支払額を具体的に書く(10万円)
⑥ 毎月の支払日を具体的に書く(10日)
この6つのポイントは夫婦間の協議で決めることになります。
先ず前払金の詳細は前払金を具体的に書く必要はある?をご覧下さい。
そして離婚慰謝料の支払の一部を分割払いで合意した場合、
本当に終期まで払ってくれるのか?という不安を覚える方が多いです。
この不安を解消するために離婚協議書や離婚公正証書を作成する方が多いです。
特に離婚公正証書には強制執行という強い効力があります。
このことからどちらを作るか悩んでいる場合は離婚公正証書の作成をお勧めします。
強制執行とは慰謝料の未払い時に支払者の財産などを差押えできる力です。
前払金を具体的に書く必要はある?
離婚慰謝料の併用払いの場合、前払金は離婚時点で受取済みです。
このことからわざわざ前払金について書く必要はない。と考える方もいます。
ただ前払金を書くことは証拠としての価値があるので書かない。という選択肢はありません。
仮に離婚後、元妻に悪意があり以下のようなウソをついた場合、
前払金を払った(受取った)という証拠がないのでトラブルに発展します。
注)ここでは元妻の悪意を例としてますが、逆のケース(元夫の悪意)もあり得ます。
〈悪意のあるウソとは?〉
元妻「慰謝料の60万円はいつ払ってくれる?」
元夫「いやいや前払金として4月1日に支払ったでしょ。」
このトラブル(水掛け論)は終わりの見えない泥沼にはまるケースが多いです。
離婚公正証書などを作成していれば、すぐにどちらがウソをついているかわかります。
書かない(残さない)=口約束とは変わらないのでご注意下さい。
この証拠という考え方は他の離婚条件(預貯金の財産分与など)でも生きてきます。
以上のことから慰謝料支払を併用払いで合意した場合、
上記書き方の通り、前払金と分割払いについて書く(残す)ことが大事です。
なお、離婚公正証書を作成する場合の目的価額については、
総額150万円ではなく分割払いの90万円で計算されるので公証役場手数料は5,000円となります。
つまり証拠記載(前払金60万円)は目的価額に含まれないということです。
詳細は慰謝料の公証役場手数料はいくら?手数料の計算方法を解説をご覧下さい。
分割払いの場合は期限の利益の喪失事項も書く
慰謝料の支払方法が分割払いで合意した場合、
上記書き方に加えて期限の利益の喪失事項という条件も書いて下さい。
期限の利益の喪失事項とは、離婚後、支払者に○○が起きた場合は残額を一括で支払う。という条件です。
期限の利益の喪失事項は難しくてわかりにくい条件なので専門家への相談をお勧めします。
離婚慰謝料の理想的な支払方法とは?
理想的な支払方法は慰謝料の全額一括払いです。
全額一括払いなら未払いのリスクがないので受取る側からすると安心できます。
ただ支払者の支払能力(資力)に左右されるので、
現実的には離婚慰謝料の全額一括払いで合意できるご夫婦は少数で分割払いのケースが多数です。
分割払いだと未払いというリスクを抱えるので、
上述の通り、少しでも支払率を上げる方法として離婚公正証書の作成を検討して下さい。
離婚公正証書には強制執行という未払い時の財産差押えという強い効力があります。
この効力があることで離婚後の慰謝料の支払率がアップすることに繋がります。
詳細はゼロから始める離婚公正証書の作り方‐全国対応をご覧下さい。
【参考情報】
・W不倫と慰謝料の注意点(前編)‐慰謝料請求は誰にできる?
・W不倫と慰謝料の注意点(中編)‐慰謝料支払合意までの過程
・W不倫と慰謝料の注意点(後編)‐養育費支払に影響が出るケース
・自分で不倫相手に慰謝料請求はできる?慰謝料請求の流れや注意点を解説
・不倫相手と慰謝料合意ができた時にすること‐示談書や合意書に書く内容
・離婚慰謝料の一括払いの書き方‐公正証書作成に役立つひな形
・離婚慰謝料の分割払いの書き方‐不倫慰謝料の書き方も掲載
離婚チェックシートの回答から始めませんか?
何度も内容のアップデートを繰返しています。
つまり開業以来の経験を多数反映したものとなっています。
開業した頃、離婚協議書などの作成相談を受けた際、
以下のような悩みを持つ方が多く良案はないか?と考えていました。
・何から始めたらいいかわからない。
・書き漏れがないように効率良く進めたい。
・しっかりした離婚協議書や離婚公正証書を作りたい。
そして自分の考えを整理できる○×形式のチェックシートがあれば、
効率良く進められるし、こういった悩みを解決できるのではと考えました。
こういった経緯があり離婚チェックシートを作りました。
離婚チェックシートとは?
1.計13ページ63項目を掲載
2.離婚協議書などに決めることを掲載
3.自分で財産分与などの情報を集めなくていい
離婚協議書や離婚公正証書作成のご依頼を頂いた場合、
離婚チェックシートの送付と内容説明(90分)から始めます。
養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割などを掲載しています。
20代~40代のご依頼者様が多いので養育費と面会交流の情報が多いです。
なお、3年位前からは世代を問わずご依頼を頂いております。
世代に応じてテーマになる離婚条件(退職金など)は異なりますが全て対応できます。
具体的には以下のような形で掲載しています。
・慰謝料の支払方法はどうしますか?(選択肢は3つ)
・養育費はいつまで払いますか?(選択肢は5つ)
このように自分の考えを整理しやすいように掲載しているので、
自分で慰謝料の情報を集める必要はなく効率良く離婚の協議を進めれます。
注1)離婚チェックシートのみの販売はしておりません。
注2)弁護士法の規定により相手方との交渉はお引受できません。
離婚チェックシートに回答後、じっくりと打合せを行い、
ご夫婦の意向に沿った質量共に充実した離婚協議書などを作成します。
詳細は離婚チェックシートとはをご覧下さい。
【慰謝料の書き方 2025/04/29】