養育費の条件を口約束で終えることをお勧めできない理由

著者は養育費の問題に強い行政書士の辻雅清

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初めまして、行政書士の辻 雅清と申します。

2010年に開業以来、下記業務について力を入れております。

・離婚協議書作成(全国対応)
・離婚公正証書の代理作成(全国対応)

養育費の条件を口約束で終えることは可能です。
ただ離婚後の未払いなどトラブル率が上がることになります。

ここでは養育費のトラブルを具体例を使ってお伝えします。
これから養育費の条件協議をする方に役立つ内容なので是非ご確認下さい。

【目次】

○ 口約束で終えると未払い率が上がる理由は1つ
○ 離婚後に悪意のあるウソをつかれるトラブル事例
○ 書面に残すことでトラブルを防げる2つの理由
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?

口約束で終えると未払い率が上がる理由は1つ

協議離婚では養育費などの条件を夫婦間の話し合いで決めます。
そして決めた条件は夫婦間の自由な意思で口約束で終える、書面に残して終えるかを決めれます。

口約束で終えた場合、書面に残した場合と比較すると支払者の「最後まで養育費を払おう」という気持ちが希薄になりやすいです。

この支払者の気持ちが未払い率が上がる理由となります。

なぜなら書面(離婚公正証書)に残した場合、
養育費の未払い時に強制執行(財産の差押え)ができます。
つまり未払い時に給料の差押えがされる。というプレッシャーがかかります。

一方、口約束で終えた場合はこの心理的プレッシャーがかからないです。
本来、養育費はプレッシャーがかからなくても払うべきお金ですが現実的には難しいです。

こういう訳で養育費の条件を口約束で終えることはお勧めできません。

なお、離婚公正証書に残しても未払いの可能性はあります。つまり支払率という確率の話となります。

離婚後に悪意のあるウソをつかれるトラブル事例

元妻「2万円しか振込まれていない。」
元夫「元々2万円の約束。問題はない。」

養育費は月3万円。という合意ができていても、
口約束だと証拠がないので元夫は悪意のあるウソをつく可能性があります。

また支払額ではなく支払終期でも同じことが言えます。
つまり終わりの見えない言った、言ってない。という水掛け論に発展します。
例)元夫は高校卒業まで、元妻は大学卒業までと主張する。

養育費の支払終期は支払総額に関わることなので、支払額と同じくらい大事な養育費の条件です。

なお、悪意のあるウソは元夫ではなく元妻が主張する可能性もあり得ます。
例)養育費は月3万円なのに元妻が4万円と言ってきた。

このようなトラブルを防ぐ方法は合意した条件を書面(離婚協議書や離婚公正証書)に残すことです。

書面に残すことでトラブルを防げる2つの理由

① 証拠としての価値がある
② 覚えてないとは言えない

書面には養育費の支払額や終期が記載されています。
つまりすぐにウソがバレるので上記トラブルが起きることはありません。(証拠)
例)離婚協議書の第2条に養育費は月3万円。と書かれている。

また子どもが幼い場合、養育費の支払期間は10年以上になります。
このことから5年前の約束を覚えてない。という記憶に関するトラブルも防げます。

支払額や終期についてはたった数行で済む内容です。
書面作成の有無が離婚後のトラブル率に大きな影響を与えることを知って下さい。

口約束で終える場合、書面作成の時間を省略できます。
つまり離婚成立までの期間短縮に繋がりますが、離婚後の人生の方がはるかに長いです。

この離婚後の人生という視点を持った上で口約束で終えるか、書面に残すかを検討してほしいです。

なお、金銭支払の約束は養育費だけではないです。
慰謝料や財産分与でも生じるということも覚えておいてほしいです。

【参考情報】
養育費の相場はいくらか知りたい‐年収別早見表や決め方を紹介
養育費はいつまで?‐子供が何歳まで払う?という疑問を解決
養育費の公正証書を作成すると支給される補助金について知りたい
養育費のトラブル(未払い編)
養育費のトラブル(手渡し編)
養育費のトラブル(面会交流編)
ゼロから始める離婚公正証書の作り方

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例「養育費の終期は?(選択肢は5つ)」
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夫「養育費は相場通りでいいかな?」
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養育費の条件では相場に目が行きがちですが、
いつまで?という終期や加齢加算など細かい条件の確認も重要です。

当事務所のご依頼者様の場合は養育費の条件だけで、
細かい条件の合意を含めると10個以上になるケースもございます。

細かい条件の合意が多い場合は安心感が高まるだけではなく、
離婚後の些細なトラブル防止にも繋がるというメリットがあります。

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【養育費のトラブル 2024/05/26】