妻が連帯保証人になっている不動産はどうなる?
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初めまして、行政書士の辻 雅清と申します。
2010年に開業以来、下記業務について力を入れております。
・離婚協議書作成(全国対応)
・離婚公正証書の代理作成(全国対応)
離婚に伴う財産分与で不動産の協議を始めたけど、
妻が連帯保証人(連帯債務やペアローンも含む)のケースではどう協議すればいいのかわからない。という方が多いです。
このページでは不動産の財産分与の悩みを解決するため、
難易度が高い連帯保証人がいるケースの選択肢を具体例を交えながら解説します。
【目次】
○ 不動産の状況確認からスタート
○ 妻が連帯保証人になっている時のよくある事例
○ 連帯債務とペアローンの違いとは?
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?
このページは不動産の財産分与に特化した内容なので、
お金(預貯金)、動産など他の対象財産については掲載していません。
他の対象財産について詳しく知りたいという方は、
5分でわかる財産分与の相場割合と流れ‐家や貯金の分配方法をご覧下さい。
不動産の状況確認からスタート
① 不動産の名義人(単独名義か共有名義)
② 住宅ローンの有無
③ 連帯保証人の有無(連帯債務やペアローン含む)
協議離婚を考えているご夫婦が不動産の財産分与を検討する場合、
離婚協議の前に①~③の不動産の状況を確認することから始めて下さい。
不動産の財産分与では①~③の状況に応じて、
ご夫婦が選べる条件の選択肢が異なります。つまり各ご夫婦ごとで結果が変わります。
この結果が変わる。という点が不動産の財産分与の難しいところだと言えます。
なお、①~③の状況確認が難しい場合、最寄の法務局にて不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)を取得して下さい。
不動産の登記簿謄本があれば、ある程度①~③の状況確認ができます。
妻が連帯保証人になっている時のよくある事例
夫「離婚後も自宅に残って住みたい。」
妻「残ってくれて構わないけど連帯保証人は抜けたい。」
離婚に伴い、夫婦は家族から他人となります。
妻が住宅ローンの連帯保証人だとこのように主張するのは当然です。
注1)夫と妻が逆の場合でも考え方は同じです。
注2)連帯保証人ではなく連帯債務やペアローンでも考え方は同じです。
このケースでは夫婦間の合意だけで済む問題ではなく、
以下3つの選択肢から妻を連帯保証人から抜く選択をする必要があります。
〈3つの選択肢とは?〉
① 借入先の金融機関に相談する。
② 夫が妻に変わる連帯保証人を見つける。
③ 夫が住宅ローンの借換を行う。
②や③のハードルが高く難しい場合は、
離婚後も住み続けることを諦めて売却という選択肢に変わることもあります。
ただ売却すると言っても、オーバーローンの可能性もあります。
このことから簡単に売却する。という結論を出すことも難しいことがあります。
なお、当事務所のご依頼者様の場合、③住宅ローンの借換を選択する方が多いです。
住宅ローンの借換を検討する方は借換先の金融機関にて仮審査を受けることから始めて下さい。
少し話は逸れますが、この事例で不動産が夫単独名義ではなく共有名義の場合、更に難易度が上がるので専門家への相談をお勧めします。
以上のことから連帯保証人がいる不動産の財産分与では、
夫婦間の協議だけではなく第三者(金融機関など)の影響を受けるので難易度が高いと言えます。
この点は第三者の影響を受けない養育費や慰謝料などとの大きな違いです。
極端な言い方ですが、100組のご夫婦がいれば100通りの結論があるので、不動産の財産分与の協議は慎重に進めて下さい。
連帯債務とペアローンの違いとは?
不動産を購入する際、ご夫婦がどのような契約をしたかわからない(覚えていない)という方が多いです。
連帯保証人についてはイメージが湧きやすいと思いますので、
ここでは連帯債務とペアローンの違いを簡単にお伝えさせて頂きます。
仮に不動産購入時に金融機関から3000万円借り入れた場合、以下の契約内容の違いで出ます。
〈契約内容の違いとは?〉
・連帯債務の場合は2人で3000万円を借入。
・ペアローンの場合は夫が2000万円、妻が1000万円を借入。
このように連帯債務は2人で借入をしていること(1契約)になります。
一方、ペアローンは双方が借入をして合算(2000万円+1000万円)していること(2契約)になります。
なお、契約内容が不明の場合は借入先金融機関への確認や契約書などを探して確認をして下さい。
【参考情報】
・ローンが終わっている不動産の財産分与
・住宅ローン残高が少ない不動産の財産分与‐離婚時の選択肢を解説
・ローン残高が多い不動産の財産分与
・財産分与の注意点(不動産)
・不動産の財産分与の流れ‐財産分与に伴う不動産の名義変更
・離婚に伴う財産分与の公証役場手数料‐不動産の手数料も解説
離婚チェックシートの回答から始めませんか?
何度も内容のアップデートを繰返しています。
つまり開業以来の経験を多数反映したものとなっています。
離婚協議書や離婚公正証書作成のご依頼を頂いた場合、
これまでの経験を反映した離婚チェックシートの送付から始めます。
注)離婚チェックシートだけの販売は行っておりません。
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離婚チェックシートとは
1.計13ページ63項目を掲載
2.協議離婚に必要な情報を全て網羅
3.わかりやすいように○×回答形式で掲載
(注)一部手書きでの回答項目もあります。
主に養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割の情報を掲載。
20代~40代のご依頼者様が多いので養育費と面会交流の項目が多いです。
なお、3年位前からは世代を問わずご依頼を頂いております。
世代に応じてテーマになる離婚条件(退職金など)は異なりますが全て対応できます。
具体的には以下のような形で掲載しています。
・貯金の分配はどう記載しますか?(選択肢は3つ)
・動産の分配はどう記載しますか?(選択肢は3つ)
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注1)離婚チェックシートのみの販売はしておりません。
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【不動産の財産分与 2025/04/14】